📊 GOLD日刊|2026年9月7日(月)

2026年9月6日日曜日

新聞

 


本日の市場テーマ

「強い雇用+原油高。GOLDを挟んでいた2つの資金フローが、再び“金利上昇側”へ揃い始めた」


本日の主役テーマ

先週後半のGOLD市場では、資金フローが激しく揺れた。

9月3日はFRBのWaller理事が、インフレ鈍化が続けば9月会合での据え置きを支持する可能性を示したことで、

利上げ期待後退

米国債買い

金利低下

ドル安

GOLD買い

という流れが発生した。

しかし9月4日の米雇用統計で状況が再び変化した。

8月の非農業部門雇用者数は16.2万人増。Reuters調査の市場予想5.6万人増を大きく上回り、失業率は4.1%で横ばいだった。米2年債利回りは4.37%付近へ上昇し、米10年債利回りも一時4.812%へ上昇。DXYは99.17まで上昇し、スポットGOLDは1.2%安の4,419.09ドルとなった。

さらに週末、米国とイランによる船舶・タンカーへの攻撃がエスカレート。

9月7日朝にはBrent原油が96.80ドル、WTIが92.14ドルへ上昇。ホルムズ海峡を通過する商品船は直近10日平均で1日約10隻と、5月以来最低まで落ち込んでいる。

つまり今日の市場には、

強い雇用 → FRB利上げ余地

原油高 → インフレ上昇リスク

という2つの材料が同じ方向から金利を押し上げる構造が生まれている。

これが今日だけの最大の特徴である。


① 東京市場

月曜東京市場が受け取った材料は、金曜NYの強い雇用統計に加え、週末にさらに悪化した中東の供給リスクである。

【市場で起きた事実】

米雇用統計上振れ

FRB利上げ観測上昇

米金利・ドル上昇

GOLD下落

そこへ週末、

米・イランのタンカー攻撃

ホルムズ海峡の物流縮小

原油価格上昇

新たなインフレ懸念

が加わった。

【機関投資家はどう判断したか】

先週木曜までは、

「雇用が弱ければFRBは据え置ける」

という資金フローが存在した。

しかし強い雇用統計によって、

FRBがインフレ対策を優先できる余地が再び大きくなった。

【資金はどこへ動いたか】

金曜NYでは、

GOLD → ドル・高金利環境

への短期資金シフトが確認された。

東京市場ではそこに原油高によるインフレ・プレミアムが上乗せされている。


② 欧州市場

欧州市場で重要なのは、原油高が単なる地政学ニュースではなく、

中央銀行の政策判断に直結するインフレ材料

になっていること。

Brent原油は先週1週間で7.8%上昇、WTIは約10%上昇

さらに9月7日朝も上昇が続き、Brent96.80ドル、WTI92.14ドルとなった。

OPEC+は9月6日の会合で、10月の生産政策を維持した。つまり週末時点では、中東からの供給障害を相殺する新たな増産措置は示されていない。

【市場で起きた事実】

供給障害

原油高

物価圧力

中央銀行の引き締め期待

欧州株も先週はインフレ懸念を背景に週間下落。市場ではECBについても追加利上げ観測が意識されている。

【機関投資家の判断】

これは米国だけの金利問題ではない。

「世界的に金利を高く維持する必要があるのではないか」

という資産配分の再評価である。

GOLDにとっては、地政学的な安全資産需要と、高金利による保有コスト上昇が正面から衝突する。


③ NY市場

最新のNY市場、9月4日の主役は完全に米雇用統計だった。

8月非農業部門雇用者数は、

+16.2万人

市場予想は+5.6万人。

さらに6月・7月分は合計5.5万人上方修正された。失業率は4.1%で横ばいだった。

データ発表直後、市場が織り込む9月FOMCでの利上げ確率は、

約55% → 約65%

まで上昇。

NY午後には約57%まで戻したものの、Waller発言直後の「据え置き寄り」の資金配分は明確に後退した。

米10年債利回りは一時4.812%まで上昇し、終盤は約4.78%。

米財務省の9月4日公式終値でも**4.78%**だった。

DXYは0.21%上昇して99.17

スポットGOLDは1.2%下落して4,419.09ドル。一時は4,364.99ドルまで2%超下落した。

資金フロー

強い雇用

FRB利上げ余地拡大

短期金利上昇

ドル買い

GOLD売り

NY市場では、木曜に発生したGOLDへの資金回帰が1日で巻き戻された。

なお9月7日は米国のLabor Dayで、米国市場は休場となるため、通常のNY現物市場からの価格形成は限定される。


④ ETF・GLD・COMEX

■ 世界の金ETF

World Gold Councilが現在公表している最新月次確定データは2026年7月分

7月は世界の金ETFへ、

  • 純流入:30億ドル
  • 保有量:+23トン
  • 総保有量:4,068トン
  • AUM:5,300億ドル
  • 年初来資金流入:110億ドル

となった。

地域別では欧州が7月の流入を主導。アジアも年初来では最大の資金流入地域で、北米は年初来では純流出圏にある。

中期ETF資金は、GOLDを完全に放棄していない。


■ GLD

SPDR Gold SharesのState Street公式ページ、およびWorld Gold CouncilのETFデータを追加確認した。

ただし今回取得できた公開情報からは、9月4日営業日終了時点のGLD金保有量(トン)と前営業日比を確実に照合できる値を確認できなかった。

したがって推測は行わない。

GLD保有残高:最新値確認できず
前営業日比:最新値確認できず

World Gold Councilの最新月次ETFデータは7月確定値までである。


■ COMEX・CFTC

ここは先週から重要な変化が出た。

最新CFTCのDisaggregated COTは、

9月1日時点

COMEX GOLD Futures Onlyで、

  • Open Interest:415,196枚
  • Managed Money Long:149,721枚
  • Managed Money Short:12,950枚
  • Managed Money Net Long:136,771枚

となった。

前週8月25日比では、

  • Open Interest:−12,761枚
  • Managed Money Long:−10,098枚
  • Managed Money Short:−2,122枚
  • Net Long:約**−7,976枚**

となる。

これは重要。

投機筋は依然大幅なネットロングだが、ロングを一部縮小し始めた。

つまり、

「中期的にGOLDを完全撤退」ではないが、短期マクロ資金はポジションを軽くしている

という状態である。


■ 中央銀行

9月3日にWorld Gold Councilが公表した最新中央銀行データでは、7月の中央銀行による金購入はネット23トン

特に、

  • 中国:+20トン
  • ポーランド:+8トン

が主要買い手。

中国人民銀行の金購入は21カ月連続となった。

一方、ロシアは6トンを売却。

2026年年初来の報告ベース中央銀行買い越しは約130トンとなっている。

短期投機資金は縮小しているが、中央銀行の構造的なGOLD需要は継続している。


⑤ 前日の重要材料

① 米雇用が市場予想を大幅に上回った

非農業部門雇用者数は+16.2万人。

予想+5.6万人。

金曜の最大材料だった。


② 利上げ確率が再上昇

雇用統計直後は9月利上げ確率が約65%へ。

木曜のWaller発言で後退した利上げ期待が再び戻った。


③ 実質金利も高水準

FREDの10年実質金利は、9月4日週平均で2.44%

前週の2.36%から上昇している。

GOLDにとっては、名目金利だけでなく実質的な保有機会コストも高い状態にある。


④ 原油高が週末にさらに悪化

今朝のBrentは96.80ドル、WTI92.14ドル。

米国とイランによるタンカー・船舶攻撃が、単なる軍事衝突からエネルギー物流そのものへの攻撃へ広がっている。


⑤ 資金は「現金」にも逃げている

9月2日までの1週間で、世界のマネーマーケットファンドには461億ドルの純流入。

約1カ月で最大の流入となった。

一方、米国株ファンドからは111.2億ドルが流出した。金・貴金属ファンドには資金流入が続いた。

これは、

リスクを取りながらGOLDだけ買う市場ではなく、流動性そのものを求める機関資金も増えている

ことを示している。


⑥ 現在の市場環境

🔴 短期GOLDを圧迫する資金

  • 米雇用統計の大幅上振れ
  • FRB利上げ確率再上昇
  • 米10年債利回り約4.78%
  • 10年実質金利2.44%
  • DXY 99.17
  • Brent約97ドル
  • インフレ再加速リスク

ドル・金利側が再び優位


🟡 中期GOLDを支える資金

  • 世界金ETFは7月に30億ドル純流入
  • 中央銀行は7月に23トン純購入
  • 中国は20トン購入
  • COMEX Managed Moneyはなお13.7万枚規模のネットロング
  • 中東の地政学的不確実性はさらに上昇

構造的な金需要は残っている


現在の市場構造

短期:金利・ドルがGOLDを圧迫

VS

中期:ETF・中央銀行・地政学リスクがGOLDを支える

ただし先週までとの最大の違いは、

短期投機筋のロング縮小がCFTCデータにも現れ始めた

ことである。


⑦ 今日の注目

■ ① 原油・ホルムズ海峡

今日最大のリアルタイム材料。

ホルムズ海峡の船舶通行量は直近10日平均で1日約10隻と5月以来最低。

Brentは96.80ドルまで上昇している。

ここから市場が見るのは、

戦闘そのもの

ではなく、

実際のエネルギー供給量とインフレへの波及

である。


■ ② 今週の米CPI・PPI

Reutersによると、今週は米PPIとCPIが予定されている。

市場予想ではコアCPIは前年比**2.4%**と、7月の2.5%からやや鈍化が見込まれている。

強い雇用統計によって、

FRBの判断は「雇用」から再び「インフレ」へ移った。


■ ③ FRBの9月会合

9月15〜16日のFOMC。

雇用統計直後には利上げ確率が65%まで上昇したが、NY午後には57%へ低下した。

つまり市場は、

利上げを確定事項とは見ていない。

次のCPIが極めて重要になる。


■ ④ 米10年債・実質金利

名目10年債:4.78%

10年実質金利:2.44%

GOLD市場にとって現在もっとも重要なのは、地政学ニュースだけではなく、

金利を差し引いた後でもGOLDを持つ資金が増えるのか

という点である。


⑧ スマートマネー判定

🟠 判定:短期「GOLDロング縮小」、中期「戦略保有継続」

【短期資金】

金曜の流れは、

強い雇用

FRB利上げ観測

金利上昇

ドル高

GOLD売り

さらに月曜朝は、

ホルムズ情勢悪化

原油高

インフレ懸念

が加わった。

CFTCでもManaged Moneyのネットロングは前週から約8,000枚縮小している。

判定

短期スマートマネーはGOLDへのリスクを落とし始めている。


【中期資金】

一方、

  • 世界ETF:7月30億ドル純流入
  • 中央銀行:7月23トン純購入
  • 中国:20トン購入
  • COMEX Managed Money:なお13.7万枚のネットロング

という構造が残る。

したがって、

「機関投資家がGOLDを捨てた」と判断できるデータではない。


⑨ 今日の機関マネー結論

今日のGOLD市場では、「戦争だからGOLD」だけでは不十分。

先週金曜、

強い米雇用

FRB利上げ観測再上昇

米金利上昇

ドル高

GOLD売り

が発生した。

そして週末、

米・イラン攻撃拡大

ホルムズ物流縮小

Brent約97ドル

インフレ懸念再上昇

が加わった。

つまり今朝の機関投資家は、

「地政学リスクでGOLDを買うか」

より、

「原油高でFRBがさらにタカ派化するか」

を見ている。

一方で、ETFと中央銀行の資金を見ると、中期的なGOLD需要は残っている。

さらにCFTCでは、

Managed Moneyのロングが縮小し始めた

という新しい変化も確認された。

したがって現在の市場は、

短期:GOLDから金利・ドルへ

中期:GOLDの戦略保有は維持

という時間軸の違う資金が衝突している。

そして今日最大の焦点は、

「ホルムズ海峡 → 原油 → インフレ → FRB」

この資金フローである。

米国市場がLabor Dayで休場となる中、次に機関マネーの方向を大きく決めるのは今週の米PPI・CPIになる。

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