本日の市場テーマ
原油108ドル、Fed利上げ確率86%――「戦争=GOLD買い」ではない市場
週明け14日のアジア市場では、Brent原油が107.84ドルまで約3%上昇。
サウジアラビアの石油インフラや湾岸の船舶への攻撃を受け、エネルギー供給への懸念が再び強まった。
一方、市場では9月16日のFOMCで25bp利上げする確率が**86%**まで上昇している。
つまり現在の資金フローは、
中東リスク
↓
原油上昇
↓
インフレ懸念
↓
Fed利上げ観測
↓
米金利上昇
というルートが非常に強い。
そのため、地政学リスクが高まっているにもかかわらず、GOLDへの資金流入は単純な「安全資産買い」になっていない。
Reutersは14日、米10年債利回り上昇がGOLDを圧迫し、GOLDが0.3%下落していると報じている。
本日の主役テーマ
「安全資産GOLD」より「インフレ資産・原油」が先に買われる
今回の市場で最も特徴的なのはここだ。
中東情勢が悪化している。
普通なら、
地政学リスク → GOLD買い
となりやすい。
ところが今回は、
地政学リスク → 原油供給不安 → 原油急騰 → インフレ懸念 → 金利上昇
という経路が先に市場を動かしている。
実際、9月11日の米10年債利回りは一時**4.9915%**まで上昇。
FREDの9月10日実質10年金利も**2.55%**まで上昇している。
一方で世界の金ETFには8月だけで180億ドルが流入し、保有量は4,189トンと過去最高。
つまり、
短期資金=金利を警戒
中長期資金=GOLD保有を継続
という二層構造がさらに明確になっている。
① 東京市場
円買いと原油高が同時進行
週明けのアジア市場では、原油価格の急騰を受けて株式市場が軟調。
一方、円については日銀の追加利上げ観測が強まっている。
CFTCデータによれば、9月8日までの週に円の投機筋ポジションはネットロング10,796枚となり、前週のネットショート92,227枚から大きく転換した。
円は対ドルで152.89円を超えて上昇し、2月以来の高値圏に入った。
日本の資金フローでは、
ドル・外貨資産
↓
円・国内資産への回帰
という動きが意識されている。
ただし原油高は日本の輸入コストを押し上げるため、円高だけでインフレ懸念が消える環境ではない。
② 欧州市場
ECB利上げ後も「原油インフレ」が残る
先週10日、ECBは2026年で2回目となる利上げを実施。
背景には中東情勢とエネルギー価格上昇によるインフレ圧力がある。
欧州ではすでに、
原油高
↓
インフレ懸念
↓
金融引き締め
↓
債券利回り上昇
という資金フローが形成されている。
米国だけの問題ではなく、欧州・日本を含めて世界的な金利上昇圧力が強まっていることが今回の特徴だ。
GOLDにとっては地政学リスクが支援材料になる一方、世界的な金利上昇は保有コストを高める方向に働く。
③ NY市場
CPI通過後も「金利5%」が市場の中心
9月11日の米国市場では、
- Dow:+1.13%
- S&P500:+1.03%
- Nasdaq:+1.15%
と反発。
ただし週間では主要3指数とも下落となった。
市場を動かしたのは、株価そのものよりも米金利と原油だった。
8月CPIは前月比**+0.4%、前年比+3.4%**。
これを受け、Fedの9月利上げ確率は約**85〜87%**まで上昇した。
10年債利回りは一時**4.9915%**まで上昇。
一方、GOLDは金曜日に0.8%上昇し4,350ドルで終了した。
ここが重要。
金利上昇が続いているにもかかわらず、GOLDには押し目買いが入った。
つまり短期資金の金利警戒だけではなく、下落局面でGOLDを拾う資金も存在している。
④ ETF・GLD・COMEX
ETFは過去最高、一方COMEXではロング縮小
世界の金ETF
World Gold Councilによる8月データでは、
純流入:+180億ドル
AUM:6,150億ドル
保有量:4,189トン
と過去最高を更新。
北米・欧州上場ETFが大きく寄与した。
これは現在のGOLD市場で最も重要な中長期資金データだ。
GLD
State Streetの最新確認値では9月9日時点で、
NAV:404.85ドル
AUM:約1,490.7億ドル
Shares Outstanding:3.682億株
となっている。
一方、同ページでは当日時点の金保有トン数を確認できなかったため、最新トン数については最新値確認できずとする。
COMEX・CFTC
CFTCの9月8日時点では、
Open Interest:411,227枚
Managed Money Long:145,804枚
Managed Money Short:10,832枚
したがって、
Managed Money Net:+134,972枚
となる。
前週比ではネットロングが4,316枚減少。
Open Interestも3,969枚減少した。
つまり短期投機資金はGOLDへの強気ポジションを維持しながらも、ポジションを少し軽くしている。
⑤ 前日の重要材料
週末に資金フローを変えた5つ
① Brentが再び108ドル台
週明けBrentは107.84ドル。
サウジ石油インフラや湾岸船舶への攻撃で供給懸念が再燃した。
② 米10年債が5%目前
9月11日に10年債利回りは一時4.9915%。
金利上昇がGOLDの相対的な魅力を抑える状態が続いている。
③ Fed利上げ確率は約86%
9月16日のFOMCで25bp利上げする確率は、週末時点で約85〜87%。
一方、Reutersのエコノミスト調査では据え置きを予想する見方も依然として存在している。
市場価格とエコノミスト予想に乖離がある点も重要だ。
④ 世界の金ETFが過去最高
8月に180億ドル流入。
保有量は4,189トンまで増加した。
⑤ 円の投機ポジションが反転
CFTCでは円がネットロングへ転換。
日銀の利上げ観測と円ショート巻き戻しが資金フローの一つになっている。
⑥ 現在の市場環境
GOLDを「支える資金」と「抑える資金」が完全に分離
現在の資金フローを整理すると明確になる。
GOLDを抑える資金
原油上昇
↓
インフレ懸念
↓
Fed利上げ観測
↓
米10年債4.99%目前
↓
実質金利2.55%
↓
GOLDの保有コスト上昇
GOLDを支える資金
中東地政学リスク
+
世界の金ETF+180億ドル
+
ETF保有量4,189トン
+
中央銀行の継続買い
↓
中長期のGOLD保有需要
World Gold Councilによれば、7月の中央銀行は23トンの純購入。
中国が20トン、ポーランドが8トンを購入した。
つまり、
短期資金:金利上昇を警戒
中長期資金:GOLDを保有
という構造が現在の市場環境だ。
⑦ 今日の注目
FOMC直前。「原油」と「Fed」が資金フローを決める
今週は中央銀行イベントが集中する。
9月15〜16日
FOMC
Fed公式日程では9月15〜16日に開催される。
9月17〜18日
日銀金融政策決定会合
日銀公式日程では17〜18日に開催予定。
つまり今週は、
米国:利上げ観測
+
日本:追加利上げ観測
という二つの中央銀行イベントが連続する。
さらに中東では原油供給問題が続いている。
今日の市場参加者が確認すべきなのは、
原油価格
米10年債
Fed利上げ確率
GOLD ETFへの資金流入
の4つ。
特に原油が再び上昇すると、単純な「戦争=GOLD買い」ではなく、インフレ→金利というルートが再び強く意識される可能性がある。
⑧ スマートマネー判定
短期:慎重・ポジション調整
中長期:GOLD保有継続
現在のデータから、機関マネーを単純な「GOLD買い」と判断するのは難しい。
短期資金
CFTC Managed Money
Net Long:134,972枚
前週比
−4,316枚
Open Interestも減少。
→ 投機資金はポジションを軽量化
中長期資金
世界の金ETF
8月+180億ドル
保有量
4,189トン・過去最高
中央銀行
7月+23トン
→ 戦略的なGOLD保有は継続
判定
短期資金:金利上昇を警戒
中長期資金:GOLD保有を維持
この二層構造が現在のスマートマネーの特徴だ。
⑨ 今日の機関マネー結論
今週、GOLDの資金フローを決めるのは「戦争」ではなく「戦争が金利をどう動かすか」
今回の市場では、地政学リスクが高まっている。
しかし機関マネーが見ているのは、戦争そのものだけではない。
中東情勢
↓
原油108ドル
↓
インフレ懸念
↓
Fed利上げ確率86%
↓
米10年債5%目前
この連鎖がGOLDにとって最大の逆風になっている。
一方で、
金ETF+180億ドル
保有量4,189トン
中央銀行+23トン
という中長期資金はGOLDから離れていない。
さらに9月11日の米CPI後、金利上昇にもかかわらずGOLDには押し目買いが入り、4,350ドルまで戻した。
したがって現在の機関マネーを一言で表すなら、
「短期資金は金利を警戒して軽くする。中長期資金はGOLDを手放していない。」
これが現在確認できる資金データに最も整合する。
そして今週最大のポイントは、
FOMCそのものだけではない。
FOMCを前に、
原油
↓
インフレ
↓
米金利
↓
Fed政策
↓
GOLDへの資金配分
この連鎖がどう変化するか。
ここが今週の機関マネーを見る上での核心になる。




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